バンドマン用語集(キャバレー、クラブ系)
- 数字
これはクラシック系のドイツ語から来とるようじゃが、そこはそれ、バンドマンらしく英語とかグチャグチャじゃが。
音名と対応させている訳じゃろうて。勿論、ワシラが使っとったのが正しい訳ではなく、変化形(正統?)が他にもあるはずじゃがの。
数値 |
音名 |
呼称 |
1 |
C |
チェー |
2 |
D |
デー |
3 |
E |
イー |
4 |
F |
エフ |
5 |
G |
ゲー |
6 |
A |
アー |
7 |
B |
ハー(ベー) |
8 |
- |
オクターブ |
9 |
- |
ナイン |
10 |
- |
チェージュウ |
15 |
- |
チェーゲー |
20 |
- |
デージュウ |
使用例
例えば、
1:コーヒー(ヒーコと発音する)を飲みに行って会計の時にじゃ、
「いくら?」「イーゲー」と使用するの。(\350の意味じゃ)
2:「ブルース」と言って指を4本だすと、Fのブルースを意味するの。
- 単語の倒置
これは音節を倒置/長音付加・省略させるのがパターンのようじゃが、何ら規則性はないようじゃの。
勿論、生活〜仕事全般に渡るのでかなり多いのじゃが、ま、代表的な単語を挙げておくぞ。
コーヒー |
ヒーコ(コは長音ではないんじゃ) |
食事 |
シーメ(飯) |
(たばこ等の)火 |
イーヒ |
お金 |
ネーカ |
ギャラ |
ラーギャ |
(ギャラの)前借 |
バンス |
女 |
ナオン |
彼女 |
ジョノカ |
女房 |
チャンカー(チャンバー等の変化形有) |
ジャズ |
ズージャ |
クラシック |
シークラ |
ブルース |
スーブル(12小節ではないぞ、24じゃ) |
楽器 |
キーガ |
ピアノ |
ヤノピ |
ギター |
ターギ |
ベース |
スーベ |
ドラム |
タイコ(ムードラとは言わなんだのー) |
ペット |
パツラ(ツは促音ではないゾ) |
トロンボーン |
ボントロ |
サックス |
クーサ |
バイオリン(男) |
オリン |
バイオリン(女) |
メリン |
歌 |
ターウ |
歌手 |
シューカ |
譜面 |
メンフ |
バンド |
ドンバ |
コーラスバンド |
ラスコ |
弾き語り |
ガタリ |
マネージャー |
ジャーマネ |
エキストラ |
トラ |
ひどい |
ドイヒ |
美味しい |
マイウ |
立つ(汎用) |
チータ |
外国人 |
ジンガイ |
日本人 |
ポンニチ |
テスト(オーディション) |
ステト |
アゲる(酒系) |
ゲーア/リピート |
クスリ(ヤバ系) |
スリク |
- その他の慣用句
「オハヨウゴザイマス」
これはあまりにも一般化しているようじゃが、24時間体制で仕事をしているので、何時であろうがともかくこう言っとけばOKという訳じゃろうて。
「オツカレサマデシタ」
疲れていなくても、また仕事ではなくても、使用するの。バイバイの意味じゃ。
特に、親しかったり目下(ボーヤとか)には、省略して「デシタ」で済ます場合もあるの。
- 1001「センイチ」
版権を無視した海賊出版の楽曲集。
これがないと、キャバレーやクラブの仕事はできんかった。
楽屋回りの楽器屋から買ったり、その筋の楽器店から買ったりする訳じゃ。
結構高かったのー。
そのままでは使えないので、自分でリライトしたりする訳じゃ。
- 赤本
全音出版の歌謡曲集。「歌謡曲のすべて」じゃったかの?
簡単なキーにトランス(移調)されているので便利じゃった。
今でもあるんかの?
- メインバンド(ショーバンド)
かつて、少し大きなキャバレーやクラブでは、バンドは二交代制じゃった。
で、所謂、ショーのバックをやったりするのがそのお店のメインバンド。お店専属の歌手(大抵、ショーの司会も兼任)がいれば、そのバックも受け持つの。
で、相方が、チェンジバンドといわれ、多いのがコーラスバンドじゃったの。
- ルンバ(特にフルバンド/ショーバンド)
箸休めというか、バンド休めというか、次の曲を選曲中というか、時間つぶしというか、そういった時に演奏されるが、犠牲になるのがリズムセクションじゃの。
連続してホーンセクション(取り合えずトランペット・トロンボーン・サックスをいう)を使う曲をやると、大抵(特にトランペット)がバテるのじゃ。(バテないのも能力じゃが)
そんな時、バンマスがリズムセクションの方を向いて一言、「ルンバ」と言うだけで、適当なラテン系の曲が始まる事と相成る。よく演奏されるのが、「ソラメンテ〜」とか「マイアミビーチルンバ」とか、他にも結構あるが、タイトルは忘れてしもうた。
勿論、譜面なんか用意されている訳ではないのじゃ。
- チェンジワルツ
ダンスホール等でバンドの交代の時にワルツを演奏しながらチェンジするんじゃ。
手順は、チェンジバンド(相手のバンド)のメロディを取れる楽器以外の楽器がメロディをだすんじゃ。
こっちが、ギター入りの編成で、チェンジバンドがピアノ入りのラスコの場合、ギター→ピアノとメロディを取るんじゃ。
基本的には曲は何でもよいのじゃが、ま、「鈴掛の道」とか「テネシーワルツ」「フライミーツーザムーン」「テンダリー」あたりがオーソドックスなとこじゃったの。
時々、いつもの曲をとんでもないキーでやったりやられたりしたの。
- グッナイ(グッドナイトスイートハート)
一日の始まりの曲は決まってないのに、終了の曲はこれが多かったの。それもキーがお決まりのD♭。
ラッパが4分音符3個、半音で降りてきて、、、というパターンじゃ。
- テンポ合わせ
歌や踊りの簡単なショーの場合、テンポとサイズ(1コーラス半とか)をショーの始まる寸前に打合せするんじゃ。
ま、大抵は同じパターンなのですでに鉛筆で記入されているままやればよいわけじゃ。
特に記号関係、調号・リピートマーク・ダルセーニョ・コーダのところには、赤鉛筆でマーキングしてるのが普通じゃ。
注:だもんだで、照明付きの専用スタンドがない状況で譜面をやっている時、ステージの照明を全赤にされると慌てる事になるんじゃ。
- Cメロ(B♭メロ・E♭メロ)
ショーとかで、バンドの編成が小さな場合、フルスコアのパート譜を演奏すると穴があいてしまうので、特別にメロディやソロ、オブリガートとかを全部書き込んだ譜面を用意してそれを演奏する。ピアノトリオやギタートリオだとCメロ。ワンホーンでテナーだとB♭メロになるんじゃが、横着なタレントの場合、Cメロしか持ってこないのも多いんじゃ。
かくしてテナーは、Cのトランスのベテランになるという寸法じゃ。
- リハ(ーサル)/音合わせ
知名度のあるショー(ビッグショーとか言ったの)の所謂リハーサルで、お店の営業時間前にする事になるの。
当然バンドは早朝?出勤となるが、時間外手当なんどは付かんのじゃ。おまけにリハ終了から1ステージ目までは時間があったりするので、コーヒータイムとなり無駄な出費がかさむ事になるわの。
この時間、ヤバイソロなんどがあると、こもって練習とあいなる。
リハの立会いは大抵タレント本人だがサシ(サシの項参照)がやる場合があるの。
また、しっかりしているバンドの場合、新しい譜面をおろす場合があるの。
よってこんなバンドは、赤鉛筆必携となるんじゃ。
リハついでに写譜屋の写譜ミスの訂正もタダでやらされる訳じゃ。
- サシ
特に名のあるタレント(チョット前まで売れていた歌手が多い)の場合にじゃ、自分のコンダクター兼プレイヤーを連れてくる事があるの。プレイヤーは大抵一人で、口の空く(使わない)ギターが多いぞ。
この場合、バンドのギターは大抵お休みとなり、時間外出勤不要とあいなるの。
- ノベタン(語源不明)
音合わせの場合、譜面どおりやると時間がかかるのでリピート記号等は全部無視して演奏する事じゃ。
歌う方はそれなりのテクニックが要求されるの。
- お散歩
なにも仕事中にウロウロ歩き回るのではなく、自分の演奏位置が分からない状態をいうの。
初見で演奏する場合、曲目とかはさておいて、曲の演奏進行順だけは事前(と言っても数秒〜数十分)にしっかり頭に入れておく事じゃ。その余裕が無い時は、演奏中に、現在進行中の部分をササっと記憶して、全体を確認する。常に音を出している楽器の場合(主にリズムセクション)、現在進行中の部分の演奏に追われてしまうと、即刻、お散歩〜と相成る。
リピート・1カッコ・2カッコ・ダルセ・コーダとか飛ばしやすいもんじゃよ。
特にパッケージショー(演奏に切れ目がない)の場合、テンポは変わるわ、譜面が長い(勧進帳とも言う)わで、一旦お散歩すると、現場復帰がなかなか難しいのじゃ。
が、大抵は、まわりのメンバーがお散歩状態が分かるので教えてくれるもんじゃ。「Bの142!」とかの。
当然、後でバンマスにイヤミの一つも言われるのは請け合いじゃ。
- 中トロ
寿司のねたではなく、イントロの同種語。曲の中間で演奏される部分をいうの。
- スタンドプレイ(チータ)
所謂”目立つ行い”ではなく、立って演奏する事じゃ。歌手やダンサーからリクエストがあるのが普通だが譜面に書かれている場合が多い。一般的には曲の間奏をスタンドプレイで演奏し、バンド紹介が有る。チャンとしたバンドは、立つタイミングも合わす(通常はトップアルトに)が、ドラムとピアノはハミゴになるのが掟じゃ。
「ここ、チータでお願いします」と言われて、変なとこを立てたり ^^; 、水前寺清子の物まねなんかせんよーにの。
- メモリー
パソコンのメモリーではないんじゃ。(じゃが、記憶という点では同意語じゃの)
スタンダードな曲を記憶して演奏する事じゃ。
Jazzのインプロビゼーション(アドリブ)をやるには必須じゃの。
有名どころのスタンダードでは、キーは大体きまってるんじゃ(例えば「オータムリーブス=Gm」)が、
その楽曲をマスターするためには、色んなキー(エニイキー)でやるとよいのじゃ。
半音の上下で結構ボロボロになったりするの。
- 4バース(4bars)
4小節の意味じゃが、一般には4バースチェンジ(4小節ごとにドラムとソリストとの掛け合い)をさす。当然ドラムのソロも曲の中という事じゃぞ。
- こんぴらふねふね
アドリブ(インプロビゼーション)の初心者がやる、まるでメロディになっていないソロを言う。(休符がほとんど無いのもおんなじじゃの)
これをよくやるのが、ピアノとギター。楽器の特質上(いずれもコード楽器)、縦で音を捉えやすいのでこうなりやすい。
別項(簡単インプロビゼーション講座)で書くが、与えられたコードの分散和音の順列組み合わせやアルペジオで拍を埋めようとするとこうなるの。
これの類語がドレミファと言い、メロディ楽器のそれ。ただしコッチはスケールの羅列と相成る。
アドリブ(インプロビゼーション)は、メロディ(ウタ)じゃぞよ。
- けつカッチン
スタジオ、バンドの予定、店の開店/閉店時間等で、終了の時間が確定している事。けつカッチンの仕事は、次の仕事を入れられるという事じゃ。この単語が有るという事は、それだけ終了時間が未確定の仕事が多いという事になるの。特にテレビ等の仕事は、終了時間なんて殆どなきに等しい場合があったの。
- 遊びに行く(来る)
知り合いのプレイヤーがある店に入っていて、そこへ会いに行ったりすると、ご挨拶代わりにワンステージ演奏というのが掟じゃった。バンドマンの日常は楽器とつるんでいるのが普通なんじゃが、こっちがギターを持っていても、行った先にアンプが無い場合は、お役御免と相成る。
- ステト
所謂、テスト、オーディションの事じゃ。あるバンドに入る場合、必ず行なわれる。(スカウトされたり、そのバンドに知り合いがいたりする場合は省略される事もある)
当然、履歴書なんぞは不要じゃ。住所も聞かれない場合が多かったぞ。
ハウスバンドの場合は、本番中のメンバーに入って演奏するが、当然譜面は初見という事になる訳じゃから、スタボロの演奏になっても店とかの影響がより少ないワンステージ目にやるの。
ギターの場合、通常、リズム(コード読解力)、譜面ソロ(2〜3のキー)、アドリブソロ(譜面とメモリー)位はやらされるの。
リハーサルとかしているバンドの場合は、リハでやる場合が多いの。
- 三味線(”シャミセン”と読めない人はおるかの?)
音程がやばいヤツの事。もしくはその楽器を指す。
例:「あのベース、ちょっとシャミセンじゃないの?」
→ベースを弾くテクニック不足、もしくはベースそのものの調整不足で音程が悪い事を言っているの。
転じていい加減なヤツの意で使用する場合もあるぞ。
例:「あのベース、 ちょっとシャミセンじゃないの?」
→該当のベーシストが、チャランポランな性格じゃないかと限りなく批判的に疑っているの。
*この使い分けは、センテンスのイントネーション、その場の雰囲気、それまでの会話の流れ、夕べのおかず、現在の所持金、年収、肉体関係、今穿いているももひき(パッチ)もしくはステテコ及びパンツの色等から、総合的に判断して、的確に使い分けなあけへんえー。
- ビータ(旅)
何も女と旅行する訳ではなく、仕事で地方に行く事言う。これが一定期間、固定場所での仕事になると、「ドサる」と表現が微妙に変わるの。
尚、チャンとしたビータでも、自嘲の意味を込めて「ドサる」という場合もあるの。
- 白タマ
小学校のタマ入れではなく、所謂スリクの一種を言った。(もう言わんじゃろーて)
運転免許証と認印で手軽に手に入る(薬局が方々にあった)ので、一時業界で流行した。
「N」という睡眠導入剤じゃったと記憶するが、飲み方の作法があって鍋奉行ならぬ白タマ奉行が横行した。わしゃ飲んだかどうか、忘れてしもーた。年をとると記憶が薄れるのー
ん十年前の事じゃからして、、、
- 葉っぱ
マリファナの事。日本では麻薬の一種じゃが、アメリカあたりではタバコなみの扱いじゃ。
あるメーカーのハトの餌にタネが混じっておって、それを栽培するという手もあったらしい。
一時問題になったので、この手はアウトのはずじゃ。厚生労働省発行の「大麻・けしの見分け方」というリーフレットから、”大麻(アサ)の見分け方”のページを転載しておくので、しょーもない事はやらんようにの!
わしゃ吸ったかどうか、忘れてしもーた。年をとると記憶が薄れるのー
ん十年前の事じゃからして、、、
- 弟子
いろんな弟子がおって、曾孫や玄孫(やしゃご)まで直弟子のように言ったりするの。
「私、**(有名プレイヤー)の弟子です」ちゅーからよく聞いてみたら、**の弟子の○○の弟子に習ったとかで、初対面からこれを言うやつにゃろくなのがおらんかったの。
- まだまだ続く、、、予定じゃ。